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手で触れるものしか信じるな


手で触れるものしか信じるな


先週の電脳コイルの終盤で、イサコがヤサコに言った言葉だ。この言葉が否定されずにこの物語が終わったとしたら、こんなに悲しいことはないと思う。


インターネットやゲームなどに対する、世間一般の評判がどちらかといえばネガティブな中で、どうして同じくネガティブイメージで語られやすいアニメーションが、メディアの道を閉ざすような解答を提示してしまうのか、ぼくにはわからない。


蜘蛛の糸を登るカンダタが、自分だけ助かりたいって、後から登る人を蹴るようなものなのではないだろうか?


新しいメディアは、人間の可能性の新しい地平を目指すもんでしょ。電子顕微鏡も義肢もサイバースペースも、手に触れ得ない世界だけど、人間はそこに新たな世界を発見し自らの身体性の再構築してきたんじゃなかったっけ?それって、猟師が山の気を読んだり、漁師が海の潮目を自らの身体性として認識するのと本質的には同じことだとぼくは思う。

公共放送で番宣をバンバン入れて、総集編が何回もある優遇された環境、社内吊りや媒体への露出など、なんとなく2007年を代表する作品ぽい打ち出しでこれじゃあ、仮想現実や行き過ぎたネット社会は怖いというメッセージしか残らないんじゃないのかな?
これからの日本は高付加価値製品を世界相手に売っていくために、旧態依然の社会インフラを完全に再構築するしか生き残る道はないのに、時計の針を巻き戻して、おじさん相手に泡沫の夢をまきちらすようなことは謹んで欲しかった。

頼むよアニキ、弟を蹴って、上におもねるようなことは止めてくれよ。そう思うんだけどどうだろうか?


ぼくの考え方は何か間違っているかなぁ?


とりあえず、明日の放映を待つか。

ああ無情 (講談社青い鳥文庫)

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ブルー・ベル (Hayakawa Novels)

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