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本来、縮めるべきZONE

デザイナーの生産性について、ずっと気になっていたんだけど、どうも量を増やさないと評価されない傾向があるよな。
確かに、単位時間当たりのアウトプットを計る際に量を基準とすることは良くある。というか、日本は製造業の伝統が強いし、工場とでは生産量の話ばっかり。*1
で、勢い、デザイナーも作業の速度を上げようということになる。で、がんばって速度を上げる。
一度上がっても、さらに次の成果は常に前回の値に対して上を求められるため、さらに速度を上げることが必然となる。だけど、そんなことは絶対に無理な話で、結局長時間労働になる。かくして、デザイナーやイラストレーターは、遊ぶ時間も忘れ、終いには寝食を忘れ、ただただ作業をすることになる。
こんなことが良い訳がない。


だいたい根本が間違っている。そうじゃないんだ。
デザイナーに求められているのは、間違いなく質の向上です。

図解してみた

で、色々考えてややこしくなったので、ここで、デザインをするプロセスを自分なりにもう一度まとめてみた。


こうなる(右上図)よね。
つまり、A、B、Cと。


で、みんな、このCを何とかしようとしているように思う。
作業の効率化とかね。20分ごとに業務をチェックしようとか。うわぁ、もう、サイアクだ。そんな会社ならヤメチャエ!
でも、Cの時間を削っちゃダメだ。絶対だめ。間違いなく質が落ちます。
一方、Aも重要。インプットなきところにアウトプットなし。ちゅーか、みんなきちんと一般情報と特殊情報を集めているのかな。面倒なんだけど、スクラップとかやりだすと楽しいよ。


というわけで、短くするのはBですよ。

運動神経

ここを、反射的にでできるようにする。
一種の運動神経、そう言ってみれば、デザイニング神経です。*2
かといって、無駄なCをたくさんするのも意味がない。Bの正確な活動が重要視されるのはそこに理由がある。けど、だからといってびびってCに行かないと始まらない。間違ったらすぐBに戻る。フィードバック。あぁこれも運動神経なんだな。
そういう意味ではデザインに関する自己身体性の統合です。あぁ、これじゃあ、かえって判りにくいな。まあ思いついたんで書いておけ。


実際、見ていて、できるデザイナーほど反応が早い。
取り掛かりからして、着地点へのベクトルが正確。
あれは考えてできるレベルではなく、やはり繰り返しの経験が脳に焼きついた小径(パス)をインパルスが流れているんだよね。つまりパターン化された定型反応なんだと思う。
さらに、経験的に言っちゃうと持って生まれた部分も多いかな。でも、生まれ育ちの影響でセンスがダメで、二十歳すぎてがっくりしている人も、Bを減らすように脳を鍛えれば何とかなるよ。デザイナーはF1やクラシックのピアニストみたいに、全世界に椅子が数個しかないようなプロフェッションじゃないしね。己の分を知って、敵を研究し、機を計り、最後は運にかければ、猫だって王様に勝てる可能性がある。とりあえず、ぼくはそう信じて今まで生きてきた。うわぁ偉そうだ。ウソ。本当はほとんど何も考えてないよ。


まぁ、そんなことを考えました。


あと、膨大なスッケッチや、やり直しはBでなくてCに分類。
アウトプットは一瞬で出す。見てると、白い紙に何も描かずウンウン唸っている人、多いんだよ。マウス持っていてもおんなじ。数十分前と同じ画面だったりする。紙と鉛筆で、アウトプットをさっさとしちゃおう!
そこでのフィードバックはBの「脳への焼き付き」へつながるのだと思う。


Bを短くすることは、脳を鍛えることであり、それはデザインの質の向上に間違いなくつながる。結果的にできた時間的余裕は、CやAに投入し、それにより、さらにBを鍛える。つまりは、脳を活性化させることがデザインにとって重要という仮説。従って、散歩したり、手を動かすことが大切ということ。
何か、良いアイデアを思いつく習慣を作るのとまったく同じだなぁ。

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*1:現場は好きなんで足繁くかよいますよ。念のため。

*2:俗語でいう「反射神経」と言いたいんだけど、「反射神経」という言葉本来の意味では、その反応の中枢は大脳皮質でなく、脊髄や脳神経核。触ったものが熱いと手を引っ込めるあれ。デザインする行為は間違いなく大脳の働きなので、反射神経ではなくて、意識化で行われる最適解への道筋が瞬時に行われる状況。つまり自転車に乗れるとか、義手の使い方に慣れるとかそういう神経の働きです。だから運動神経って考えるのが一番イイ。