コンピューターで何をするのか?
子供のころ、親にシャープのMZ-2000の購入をねだったおりに、よく出くわした質問だ。
その質問に立派に答えられるほど、当時のぼくに、充分な理由はなかった。ただ、たいそうな理由がなくても、グズル子供に仕方なく買い与えられたマイコン*1のオールインワンのモニターに現われる緑色の文字を、ただ飽きずに眺めているだけでぼくはけっこう満足だったのだ。
けど、20万円する機械が電卓の機能すらついていないと、当時は盛んに揶揄されていたのをハッキリ覚えている。
洗濯機にすら付加価値として電卓をつけたらっていう時代だったしね。
おまけに、当時はOSなんて気の利いたものすらなかった。MS-DOSが売り出されたのは数年後で、値段を見てぼくたちはため息をついたものだ。
あれから20年以上がたった。パソコンが社会に認められ、オフィスの必需品になったのは、企業がエクセルやワードを使うようになったころだと思う。続いて家庭に普及したのはインターネットの整備が進んだあたりからだと思う。もちろん、細かくはもっと色々あるけど、大きくはそうだとぼくは感じている。皮膚感覚として。
そうして、誰もパソコンを何に使うかなんて聞くことはなくなった。同時に何ができるかわからないワクワク感も失われてしまったように思う。だからというわけじゃないけど、巷のパソコン教室でいの一番にやるようなワープロやインターネットの使い方を、可能性がいっぱいの子供たちに教えるのは何か気が引けるのだ。
もっと、ドキドキ、ハラハラして、一見なんの役に立つかはわからないけど、ひょっとすると人生を大きく変えるほどの夢があの箱と人間の関係性の中にはあるのだ。と、ぼくは思っている。
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