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パソコン・ロボット1日目

イントロダクション

新年会で近所の小学生にパソコンを教えて欲しいという依頼があって(子供とコンピューター PART-2)、その後、近所の竹の台児童館のマルオさんと打ち合わせを継続していた、子供のためのワークショップ「パソコン・ロボット」。学校が夏休みに入ったこのタイミングで、3週連続開催開始。


本当はシーモア・パパート氏の著作マインドストーム」での記述に後押しされての開催だったので、こちらの読書感想文エントリーを先にあげておきたかったんだけど、多忙につき後回しです。実はまだ読んでないところもあるのです。お待たせてすいませんね、はくしゃくさん。


会場設置や事前の打ち合わせのため、2時間前に児童館へ行きPCのセットアップやパワーポイントのチェック。電池やトレーの確認を順番や班分けの最終確認などを順番に行います。

参加年齢の問題

準備していると児童館の子供たちが寄ってきて色々と質問をしてきます。今回は3日目にプログラミングの基礎があるため、参加年齢は3年以上(兄弟がいる場合は1年からOK)に設定していたんですが、目の前にロボットがあったりPCの画面のムーヴィーを見てどうしても参加したいという1年生の子がでてきました。


こういうのは切り捨てるのが、確実に課題を達成するためには正しい*1んだろうけど、あまりに気の毒というか、こういう小さな好奇心を満たしてあげるのが本来のミッションだと自分に言い聞かせてその場の一年生全員を受け入れることにしました。

1日目の構成は

  1. パワーポイントを使った概略説明
  2. ロボット「LEGO Spybotics」の組み立て


パワーポイントでは、お決まりの色を使った自己紹介から始まって、簡単に日本や世界で活躍している現在のロボットを紹介。こけるアシモや、弓を射るアイソボット、ちょっと気持ち悪いブラックドックの映像は狙い通り喜んで見ていました。ちゃんと資料*2を用意しておいてよかった。


その後、Spyboticsの説明。ここでは4つのSpyboticsの名前と性能を紹介。これ、息子に選ばせたときにわかったんだけど、小学生は「4台の中でどれが一番性能が良いか?」にものすごくコダワル。
もうスピードならどれ。力ならどれ。すばやさって何?ポイントを全て合計したらどうなるの?
1年から5年がまったく同じ反応です。カードゲームのポイントや属性に目の色が変わるのとおんなじですね。
あと、英語の名前はわかりにくいので日本語の名前を創作しておきましたが、「闇の一撃」は喜んで使ってもらえたけど、後はだめでした。結局、赤いの。緑。とか、色での呼称に落ち着いたようです。


さていよいよ、各チームごとに4種のSpyboticsから1台を選ぶのですが、ここで先ほどの色を使った自己紹介が利いてきます。一度意思決定しているから合意が早いかなと。簡単なプライミングですが。



組み立ては、1チーム6人なので、大きな子や積極的な子が作業を独占しないように、チーム内で役割を決めてもらいました。

  1. リーダー
  2. 大きい部品探し係
  3. 小さい部品探し係
  4. 組み立て係

リーダーはパソコンでインストラクションをめくる係りとしました。25分ごとに役割を交代し、部品を探す係りなど順番に体験する仕組み。見ていると1年生でも器用にタッチパッドを使ってカーソルを動かしています。子供だからって別に特別マウスは要らないよう。適応力は大人より確実に高いです。


そんな感じで、2時間のワークショップはあっという間に終わりました。

ゲームを開発する能力

早く終わったチームは早速自分たちでルールを作って遊びだしたのには本当にびっくり。
ものすごいパワーでした。(画像はわざと荒らしてます。)

けど、考えてみれば、子供の頃、仲間内で遊ぶのって、自分たちでルールを考えたり、遊びを作っていた。人間にはそもそもそういう能力は備わっている。
ゲームを造る側の人間として、こうした人間の本質に謙虚でありたいなぁと思った瞬間でした。なんか、こう、頭で考えて、むやみに難しくしちゃう傾向があるんだよなぁ。自戒。

初日の振り返り

  • 当初の依頼であった「子供にパソコンを慣れさせる」と言う要件では、初日のCD-ROM内のインストラクション*3を見るというプロセスのみでも十分有効。最初はたどたどしい使い方でしたが、途中からページ数の表示に気がついて、他チームの進捗を確認に人を派遣したり牽制したり、競争を目的にユーザーインタフェースを有効に使いこなしています。終わり際に見学に来られたお母さんがとても喜んでおられたのが印象的です。
  • 3時からの開始時間は遅れてきた子供がいて5分ほど遅れる。最後も押してしまったし、習い事との関係を考えて1時か、2時から開始の方が良かったかも。ものすごく参加したったのに参加できなかった子もいたらしいし参加日時の設定は要調整です。
  • 何か揉めそうな気がしたので、女の子チームを作ったんだけど、結局組立作業が遅くなってしまった。近くで観察していて実感したのは、立体的な空間把握能力が平均して低いということ。男女の性差についての脳研究を思い出しました。この年齢は総じて女の子の方が勉強ができ、優秀なだけに、本人たちはかなりショックだった様です。ちょっとかわいそうだったかな。
  • 時計ソフトは大活躍。全画面表示で残り時間を表示をするソフトを試験導入したんだけど、これ、本当に良い。下手にタイムキーパーを決めてもらっても、時間を意識してもらえずまったく機能していない事例を何度か体験しているだけに、この効力はまさに驚きでした。「おい!あと5分で交代の時間やぞ。」って小学生が自発的に言うんですよ。社会人のダラダラ・ミーティングにも利きそうです。*4


次回2日目は「ロボット運動会」です。盛り上がりそう。

関連エントリー

●関連サイト

*1:イレギュラーは後で参加条件とかでもめる可能性もあるし。

*2:数日前にたまたま行った公演の内容を参考にしました。

*3:デジタルなインストラクションは旧来のLEGOファンには極めて不評。

*4:というか、バッチリ利きました。実は翌日、勤務先で結構大掛かりなワークショップを主催していたんで。