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地球を作るワークショップ

昨日、ふと思いついたのだけど、地球儀を作ることですごく色々なことがスムーズに体感できることに気がついた。

  1. 球を作るたいへんさ。球とは幾何学的にどんな構造か。
  2. 地図ではなく、実際に地球上の大陸や海洋がどう配置されているか体感できる。
  3. 視点を変えて見るということを、自然に体感できる。

本当に面白い。小学生向けのワークショップや、新人向けの研修でやってみようかな。

球の成立

確かに3Dツールを使えば、一発で球は生成できる。けど発泡スチロールで芯を作り、石膏粘土を巻いて、治具で表面を球に仕上げていくのには相応に時間がかかる。そして、時間をかけて手と頭を使って憶えたことは、なかなか忘れないし応用も効く。
球の幾何学的構造を体感できる。球は色々な断面が正円なんだけど、これは3Dツールをいくらいじっていてもなかなか判らない。球を球たらしめようと試行錯誤することで、おのずからわかってくる。
そして、表面に光沢が出るまで磨きこみ、ほぼ正円に近い状態まで仕上げて転がしたときの満足感。最近のデザイナーはこういうマテリアルワールドに働きかけるデザインの持つ喜びを忘れがちだと思う。*1

小さなユーラシア大陸

グローバルに考えるって言うほど簡単じゃない。実際に行ければいいんだけど子供だと難しかったり、行けない国もある。
それで、地球儀という便利なものがあるんだけど、実際に写してみて判ることはとても多いことに気がついた。というか、描き写さないと頭には入ってこないよね。
英文を書いて憶えたり、社会の年表を書いて憶えるのと同じ。
大西洋が意外と狭かったり、ユーラシア大陸が思ったより小さかったり。地政学や軍事的な緊張が生まれる理由も文字ベースで聞くより体感しやすい。
グーグルアースも面白いんだけど、指と脳を使ったこのインタフェースが持つ情報の浸透度は侮れない。

視点の変換を体験する

以前、TUBE GRAPHICSの木村さんがインフォデザインを作成するにあたり、一番重要な技法のひとつとして「視点を変える」ということを説明しておられた。
3次元・球状の地球を2次元の紙に表記するには、必然的に視点の変換が必要。いわゆるメルカトル図法や投射投影法とか色々あったと思う。その際、高緯度が大きくなるとか、色々図示されるけど、実際に色鉛筆で球に描いたときの印象ほど強く体感できたことはなかった。


さらに、感受性の強い子供なら、限りある資源とか、エコとか考えるかもしれない。何かイイ事ずくめだな。問題は、技術的にちょっと子供にはレベルが高いかもという懸念。でも、体験上、ステップを細かく刻めば、子供は相当のことができる。やってみるかな。


写真はまだ途中で、もう一度磨きをかけて、地球儀から地図を写しなおします。
発砲スチロールも粘土も身近な材料なんで興味ある方はぜひ。
治具はガチャガチャのカプセルを使用。大きさもあんなカンジ。

●参考サイト

*1:ジイサン臭い意見だとは思うが。