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常識がないのはどっちだ?


読売新聞にはガッカリさせられる。
東京都は日本の首都である。
また、下水道は近代都市衛生の基礎である。いまだ下水整備のない首都だって世の中にはあるのだ。
日本を代表する都市の、しかも公共の都市衛生を代表する組織のマークが、間違ってしまった。そのユニフォームのマークが組織のルールに外れたデザインなら直すのは当然である。
全く、一部の隙もない当然のことだ。


それを、金額の多寡から税金のムダ使いというお決まりの話になり、マニュアルのルールの例外規定を論じ、あまつさえ個人的に大差は感じられない。実害はないと言い切ってしまうこの記者のセンス。
これが日本を代表する新聞社の最もクオリティーが高いクリティークとされる社説の中での話なのだ。


なさけない。


組織が発注し承認した「基本デザインマニュアル」は、一定期間必ず守らなければならない。例外はあくまでも例外*1であって、この程度のミスは間違いなく修正に値する。デザイナーでない人間がデザインの是非を判断できるなら、そもそもデザインマニュアルなんていらない。記者がプロフェッションならデザイナーもプロフェッションなのですよ。おわかりか?それとも、デザイナーを舐めているのか?
これがこの国のデザインに対する基本的な感性なのか?と疑われる話である。これが常識なら民度が低いということになるが、読売新聞とてジャイアンツのデザインマニュアルに対してはもっと従順であろう。


いったい、問題意識がずれているのは果たしてどちらか?
3400万円を余分に支払うこととと、組織として正確なヴィジュアルコミュニケーションを実行することは別問題だ。
発注を間違ったのなら、デザインマニュアルの運用に問題があったのかもしれない。そもそもユニフォームの作り直しに3400万円かかるという見積もりがぬるいのかも知れない。そういう組織運営を改善強化することが、納税者にとって誠実ということであり、公僕としての本分である。記者がそういうことを問題にするのなら理解できる。


実際、担当が間違うことは、民間企業でもある。その度に本人に賠償させたり、この程度ならそのままでもいいよという判断を普通はしない。
訓告処分など適当な懲戒を行い、場合によっては次回の年俸査定に反映し、本人の注意以外に間違えやすかった理由がないか調査改善する。そうやって組織は変化(おそらくは改善)していくのだ。
そういった意味で、下水道局の判断を私はおおむね正しいと思う。


昨今世を賑わす*2「アニメやマンガ、ゲーム」などコンテンツビジネスでこの国が本気で生き残るのという線を押すのなら、日本を代表するマスコミである読売新聞は、もっとデザインを重視しデザイナーの職能に敬意を払うような社内教育を徹底して行っていただきたいものだ。*3


土曜の朝は忙しいのに、こんなつまらない社説(社の代表記事ですよ!)を読まされて非常に迷惑とぼやくことしきり。
一方、妻が言うには勤務先のデザイナのスタッフ向けのテキストとしていいんじゃないのとのこと。


まぁそうかもしれない。

*1:印刷がしがたいものへの表記や色数が制限される場合、WEBでの低解像度での表記など、マニュアル制定時には想定できなかった制約が色々あった場合への例外事項。

*2:個人的には片腹痛い。w

*3:こういうところに、新聞というメディアが、現代にアップトゥデイトできていない兆しを私は感じる。最近、再び読売新聞の購読を始めたけど、いまだにこの手の「お役所の無能を責めて読者に媚び諂う」という様式で読者数を伸ばすというビジネススタイルが通用するのだという概念から抜け出ていないことに憐憫すら禁じえない。ましてやおまけをつけて年間購読してもらうとか、押し紙とか、本末転倒を超え失笑すら沸かなくなる。何らかの形で生き残ってほしいのだが…