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道衣が二枚あると良いのです

「コバヤシさんはがんばってますね。結構脱落する人もいるんですけど。」


先生のご自宅で開催された忘年会*1で先輩にそういってもらった。ほぼ毎週、一年以上続いている。嬉しいことです。で、続くのには理由がある。いわゆる職場の改善運動的なことを若手スタッフと話す機会が最近ちょくちょくあったので思うことを書く。だいたい、何かを習慣ずけるためには、2つ方向があると思う。

  1. 行動に対する報酬が十分にあること
  2. 行動に対して障壁が少ないこと


1.を論ずる場合は多い
例えば、私が合気道を続ける理由は凄くたくさんある。健康問題もそうだし、先生や諸先輩方々との交流から得ることなど数えればキリがない。行ったほうが良いのは、主観的に見ても客観的に見ても誰に聞いても間違いない。どう考えても正しいのだ。そういうことは他にもいっぱいある。英語を勉強した方が良い。いや中国語も喋れた方が良い。職場ではもっとコミュニケーションをとった方が良い。お金は節約して貯金した方が良い。中年なんだしあまり食べ過ぎない方が良い。でも、どんなに良いことでも、しばらく経つと続けれなくなることは多い。良いことだけを並べ立てて「がんばれ」っていうのは、正直結構きついのだ。


で、2.が重要だという話になる。私にとって、一番良くあるのは、行動を起こす直前で何かイヤになってしまうことだ。だいたいギリギリまで別のことをしていたりするので、直前になって準備をバタバタして、結果遅れそうになって、自己嫌悪→モチベダウンってパターンが多々ある。むらっ気が多く、実にダメ人間。
そこで、「道衣が二枚ある」ということがとても重要になる。道衣が二枚あれば、お稽古から帰ってきて「あー楽しかった!」と、一番気持ちの良いときに、ハイテンションのうちに来週の準備を全部終えてしまえる。汚れた胴衣を洗濯場へ持って行き、かわりに風呂敷に包んだきれいな胴衣を鞄に入れる。ハイ完了。翌週は鞄を持つだけで出発できる。遅刻しないですむ。小さな失敗で出鼻をくじかれずにすむ。


このように、行動に障壁が少ないことは極めて重要だと思う。
人間は理念では動けない。相当な報酬でも実際は難しい。めんどくさいのだ。*2
やりやすいこと、楽なことならやってしまう。いや、気がついたらやっていた。そういう感じが理想的だ。「無意識インタフェースの設計」、業務用ゲーム機器の製作という職場で、私が目指しているのは、実はそういうことなのだった。

*1:備忘録:今回は551蓬莱の豚まん6個入りを3箱

*2:アイデアのつくり方で、著者がノウハウを公開しても自分が困らない理由がここにある。誰にでもできるとわかっても、続けることは相当難しいのだ。