エリック・ロメールの死を悼む
ロメールが亡くなった。
職場で昼食を食べた後、デザイナーのIくんが教えてくれた。
ロメールの作品は、今から20年前、二十歳前後の頃に大半を観て、その後は全く観ていない。
それでも、生涯もっとも好きな映画監督をあげろといわれれば、三本の指に入る。ちなみに、他の二本はルビッチとカラックス。
ほとんどの長編作品は観ているはずだが、個人的には「友達の恋人」と、「モード家の一夜」が一番印象に残っている。
今思い出すと、欲望の対象としての女性を、愛すべき身近な人間として、品よく丁寧に描いた作品が多かったと思う。
「なんかいそうなんだけど、絶対いない。」そういうかわいい女の子を描かせたら彼の右に出る人間はいないだろう。
だが、その制作風景は極めて地味で堅実だったと聞く。
ネストール・アルメンドロスの著書「キャメラを持った男(名著!)」を読むと、ロメールの撮影風景が良くわかり興味深い。
- ささやかな手作り感のあるセット。
- しっかりと、徹底的に考え抜かれた脚本。
- そして恐るべき天候運。
いつかまた観たいな、と思いながらも、若い頃に見た、あれほどの感動はもはや望むすべもないので、多分ガンプラを作っていた方が良いのかもしれない。
それにしても、ショックだ。けっこうなお歳だったから、いつ亡くなってもおかしくはないのかもしれないんだけど、それでもショックであることはかわりない。
心からご冥福をお祈りします。