窓から見える謎の建物
墓のようでもあり、神殿のようでもある。
順当に考えて農産物を蓄積するサイロなのか。
勤務先の窓からは、近隣の静かな農村地帯が見える。
緑の田の間の間を伸びる山裾の道。白い車はゆっくりと走って見える。巨大な橋を通行する車両のように。
窓から左手の斜め、西の方に、木々の連なりの向こうに、大きな白い箱型の建築物があり、何年か前から気になっていた。
あの建物はいったい何なんだろうか?
この夏、息子の夏休みの宿題に付き合い、精神工業団地内を自転車で半日往来し、件の建物の詳細が知れた。
山崎製パンの冷生地工場だったのだ。
建物自体は丘の上にあり、視線の都合で実際より高いものであるかのように思えていたらしい。
ある種の神秘性は失われ、かわりに食欲を喚起させることになったが、それでもこの建物の持つたたずまいは変わらない気もする。
- 作者: ズジスワフ・ベクシンスキー,永瀬唯
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2005/07/09
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