自制と継続、そして機を見るということ
ポスターを貼って生きてきた。 就職せず何も考えない作戦で人に馬鹿にされても平気で生きていく論
- 作者: 笹目浩之
- 出版社/メーカー: パルコ
- 発売日: 2010/10/28
- メディア: 単行本
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アートや表現というものに興味があり、その周辺で何か自分でも役に立つことができないかと考えている人に、いくらかヒントになるものを提案できるかもしれないという程度の内容です。
ヒントになるんじゃないでしょうか?
心に決めた三か条
- 酒の席では絶対に仕事の話はしない。
- ポスターの制作までは引き受けない。あくまで貼るだけに徹する。
- 小劇団の人とは知り合いにならない。
酒の席では絶対に仕事の話はしない
酔った勢いで、何を話すからわからないから、とのこと。
→制作業務における守秘義務の徹底と同じ。
ポスターの制作までは引き受けない。あくまで貼るだけに徹する。
ポスター制作の費用をいったん立て替えるが、それをあとで劇団が果たして支払えるのか保証がないとのこと。この話はとても良くわかる。お金がないところから、お金を引っ張る「督促」という行為は、非常にコストがかかるのだ。
→売上高より利益を残すという発想は、バブル期においては貴重だった。そもそも、デザインしたり表現したいという人は多いが、それをどう届けるかまで気が回る人ってほとんどいない。作ったら作りっぱなしかよ、みたいな。
小劇団の人とは知り合いにならない
大手としか仕事をしないというのは、偉そうなのではなく、小劇団は自分たちでポスターを貼り、その費用を稽古や芝居のたしにするべきだろうという考え。
→ポスターを貼るプロセスで出会う偶然の出会いを独占したくないというのも厳しさよりも優しい視線を感じる。
当たり前のことを淡々とやり続けるという点に共感する。
ポスターという表現に対して、私も思い入れは強い。かつてはポスター制作というものに憧れがあった。縁あって何点か制作することもあった。PDでさんざシルク印刷をやった経験から、オフセットでも特色を上手に使いシルクらしい表現を追求したりもした。今でもグラフィックの仕事は好きだ。こないだ映画館でも古いポスターをもらったときは嬉しかった。年末にポスターフレームを買おうと思う。