日常に埋め込まれている危機への備え
この週末は第7回情報デザインフォーラムがある。
「災害から身を守り、情報を伝えあうためのデザイン」というテーマになったそうである。元々、お正月の頃の打ち合わせでは、インフォメーションをやろうという話だった。半年もたたないが今となってはひどく昔に思える。その後、今回の震災に際して、デザイナーとして考えると、こういうテーマ立てになることはしごく当然の成り行きだろう。
残念ながら、直接参加はできないのだけれども、気になっていたことをエントリーとしてあげておきます。
竹の台の防災対策
地元の「竹の台地域委員会」でも、震災に関しては話題になった。主に支援と防災の2点。そこで印象に残った言葉を書いておく。記憶に従って大意を記しているため詳細が異なってもご勘弁を。
私たちは、竹の台の防災活動は、全国でもトップクラスだと自負していた。しかし、今回の未曾有の災害では、阪神では最終的には3名だった行方不明者が、いまだに1万人以上にものぼりたいへんショックを受けている。あれほどの災害が私たちの住む町を襲ったら、たくさんの行方不明者が出るだろう。
アイデアとしてはあがっていたが、手をつけてこなかった「要介護者マップ」の整備など、今回の震災を踏まえた防災対策をみなさんと考えて行きたい。
ポイントが何点か
- 震災で亡くなった方、行方不明者の中に占める、高齢者、要介護者の割合はきわめて大きい。
- 一方で、高齢者、要介護者の方が、どこにどれだけいるのか、行政はもとより、地元の地域委員会でも把握できていない。
- 高齢者、要介護者は、情報を受信するための障壁が大きい場合が多い。
高齢者に伝えるには
その後、竹の台総合新聞第26号の打ち合わせのときに、地域のコミュニティビジネスの一環として、高齢者へのランチサービスをWEBや携帯電話などから事前に予約できないかな?という話になりました。そのときも高齢者の方、なかでも60〜70代以上の方は家族が不安だから取りあえず携帯を渡していて、通話やメールの受信は何とかなるけど、文字の入力は難しい人もいるよねぇという話に。
やっぱり、紙の新聞は誰でも読めるしね。
新聞記事各所にQRコードを埋め込んで、そこからワンクリックで注文とかするしかないんですかね?携帯電話の個人認証だけは家族にやってもらう前提になりますが。
こういう日常的な活動を密にして行くこと、普段から情報の行き来をさせておくことが、いざというときに、情報が上手く伝わることに繋がるのではないかなと思います。
実際、デジタルツールのみを情報メディアとしてインフラ設計していると、取りこぼすところが多すぎる。
結局は家族というユニットが緩衝帯となって、情報を咀嚼するしかないのかなぁ、というのが今のところの私の結論です。核家族化した現代で、ニュータウンは急速に高齢化していく中で、どういう家族像が提示できるのかはこれからの課題ですが。
そんな感じで、「災害から身を守り、情報を伝えあうためのデザイン」は私にとっても身近で、今現在、実際に地域で取り組んでいる問題としてたいへん興味があります。実況や結果を楽しみにしてますね。
メモランダム
デジタルメディア以外のツールとして
- バッジやTシャツ、のぼりなど、竹の台ではさまざまなグッズを統一したデザインで制作したが、住民間のコミュニケーションの質を向上する上で意味はあった。
- ペーパーメディアの併用、ハイブリッド化。