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フォトショップを使用した、2色分解に関するメモ

フォトショップを使用した、2色分解に関するメモ
5年くらい前にまとめたメモをさっき発見したので転記がてら再度チェック。
blogのどっかにリンクを張った気もするが、ざっくり検索して見つからないため、あったほうが後で便利だよね。
ついでに、カテゴリー"TIPS"を追加しておく。
実際、細かく調べたことでも、後でまるで忘れてしまうので、ここを見たら思い出せるという外部脳(メメックス)は貴重。


思えば、16年位前にPDに配属され、最初に手がけた大型筐体"SKIER'S HIGH"の草模様のシルク印刷ラベルで、特色分解が思ったようにできなかった頃から、指定色での分解は幾度となく試した。一種のライフワーク。w 結局のところ、私のささやかな経験では、製版屋さんにまかせ、口で色々いってもなかなかうまく行かず、自分で分解するしかないということだった。もちろん基本は製版屋さんに教えていただいた事が元になっている。先人の技術には感謝したい。


CMYKの写真から「特色2色のみで成立するデータ」を作成する手法〜

オリジナルデータ


RGBデータをフォトショップCMYKに変換。若干jpegノイズがあるが、2色で分解するのに極めて適切!なので、これでお願いします。

A)CMYKからCとMを使用する(KとYは破棄)


最も簡単な手法
おれも最初このパターンを印刷会社さんに薦められて困った。

B)オリジナルのRGBデータを新規レイヤーへコピーし、それぞれ 編集 > 色調補正 > チャンネルミキサー を適用(モノクロのチェックボックス

該当の色を拾うことも大切だが、大きく全体の陰影や立体感がつかめるような版を作成する。デッサン力に近いニュアンスです。

シアンに該当する版のモデリング


マゼンタ該当する版のモデリング



グレースケールの版が2つできたら、同じサイズで、新規ファイル > モード > マルチチャンネル で マルチチャンネルモードのファイルを作成する。チャンネルタブでイエローを消去すると、シアンとマゼンタが残る。この2つのチャンネルそれぞれに、先ほどチャンネルミキサーで作成したグレースケール画像をペーストします。


チャンネルをクリックすると設定画面が出ます。

シアン版ならこんな感じね。
プロセスインキは透明カラーなので、デフォルトは不透明度0%になっているはず。刷り順が後のインク色の不透明度を100 %にすると、隠蔽力が高いインク(不透明インク)で刷るって事になり、色目が変わってしまうので注意。
例えばマゼンタ版が不透明だとこんな感じ。

凄くピンクが目立っちゃうよね。実際にはありえんけど。
それから、レイヤーの刷り順は、上からです。これは体感的には下からなんで、混乱しやすいところ。
具体的には通常のC → M → Y → K の順でC → Mだとこんな風。

で、うまく調節すればこうなるはず。

一見、あまり変わらないようだが、

詳細にみるとかなり異なります。(左がBのステップ 右がAのステップ)

C)さらにスポットカラーを調整

で、ここからが楽しいところ。
自分で指定した色で分解するっちゅーわけです。

特色1

特色2


オリジナルデータからスポイトでピックアップした色でもいいですし、印刷する紙やチャンネルミキサーでの調整などを考慮して、若干色目を変えてもいいでしょう。
こんな感じになります。


比べてみると
左から、オリジナル、Cのステップ、Bのステップになります。


Kのしまりがいまいちですが、2色でもけっこういけるのではないでしょうか?
オリジナルの色にこだわらなければ、黒い部分をもっと濃くしていくことも可能です。

D)ダブルトーンモードを使用する(別の方法)

ちなみに、便利なマルチチャンネルができる以前はダブルトーンを使用していました。古いバージョンのフォトショップではこちらを使用してください。
つーかね。今更この時代のことを書いておく意味ってほとんどないよね。CS以前のフォトショ使ってる現場なんてあるんかな?
今このblog書くために検証していて、あまりに忘れていてびびったわ。
でも、まぁいいか。考現学だよなまったく。


はいはい。ダブルトーンモードの画像はいきなりは作成できません。
一度グレースケールモードで画像を作成し、その後にダブルトーンに変更します。この時、ダブルトーンの色数(1〜4色)や、分解色を聞いてきます。ここで気の利いた特色を指定しても、決してその色をキーに思い通りに分解してくれるわけではないです。ちょっと階調の豊かなグレースケールっぽい画像になるだけです。ここで昔随分がっかりしたよね。ダブルトーン自体、単色印刷では表現しきれない豊かな階調表現のためにあるようなのでまぁ仕方ないのですが。


今回は適当にデフォルトのままダブルトーンモードに変更し、チャンネルタブで新規チャンネルを2つ作成、元からあったダブルトーンのチャンネルを削除します。後は、マルチチャンネルと同じです。チャンネルミキサーで作成した各版を新規チャンネルで作成した各チャンネルにペースト。
チャンネルには特色の指定ができます。
なんかうっすらしてますね。

この状態だと、各チャンネルがスポットカラーになっていません。
チャンネルをダブルクリックすると設定が出ますので、このようにスポットカラーに設定を変更してください。


一度設定してしまうと、マルチチャンネルと同じ設定ウィンドに固定されるようです。
刷り順の概念は、マルチチャンネルと同じ上からです。
なんとも懐かしいですね。もう2度と使うことはないかもしれませんが。

E)その他のTIPS

1)チャンネルミキサーで、必要な色を、グレースケールに盛り込んでいく手法は、白黒写真を作成する際にも活用できます。
白黒写真の場合、チャンネルミキサーのオペレーションは16bitの色領域で行うことをお勧めします。よりリッチな階調を残せます。
マルチチャンネルは手元のver7.0では16ビットに対応していないのですが、途中まで16ビットで作業することで、少しでも高い品質のデータにすることも可能かと思います。


2)マルチチャンネルのデータはEPSで保存可能。つまりイラストレータに配置が可能。
もちろん、 シフト+スポイトで配置画像で使用しているスポットカラーを選択可能。実は読み込んだ際にスウォッチにも追加されています。
ただし、両者が本当に同じ色になるかは、ソフトのカラー設定等によるんで、必ず各人で確認してから印刷するようにしてください。


3)多色分解にも応用可能。
今回は2色分解でしたが、3色でも要領は同じ。
良くやるのは、蛍光色や金銀など、通常の分解では不可能な特殊印刷の版を作る場合にも使えます。
まぁ、身近なパターンとしては、肌色に傾向オレンジ盛るやつですな。私も1年くらい前にやりました。


やぁ〜、そんなの知ってるよ。という人はすいません。
ちょっと違うよ!という方は、こっそり教えてください。

おわりに

かつては高価なフルカラー印刷の代替として、白黒に1版足すだけの費用でそこそこ鮮やかな表現ができる2色印刷は重宝したものです。しかし最近、実際のところ、もう随分前から、印刷の現場で手間のかかる2〜3色印刷で刷る位なら4色プロセスにしてくれ。値段はあわせるよ。とか言われています。
しかし、特色自体が持つ発色は、絶対に分解では再現できない場合も多々あります。盛った感じがね、もうイイの。サイコー。
さらに、分解色を限定することで生まれるミニマムなデザインちゅーかね、そういうのが好きなんですよ。昔のマッチ箱とかコースターとかね、2色や3色という限定した色と紙色のハーモニーがね。良いんですよ。
テストに時間かかるし、仕事ではほとんど使えないけど、機会あればまたしたいね。


では、みなさん良い2色印刷を!