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瞑想誘導装置としてのブザー

確か2年前の夏の合宿、宴会の席で内田先生が尋ね、ヨハンナさんが希望した太鼓代案であったブザーはとりあえず完成した。
当初それらしい市販品があれば購入し、パッケージする程度だと思っていたが、意外とないのね。音量や使い勝手のこともあり、結局自作になった。
回路の難度的には図面さえあれば多分小学生高学年か中学生でも組める程度のものだと思う。それでもケースのレイアウトや細かい処理まで考えると当時の私にはできなかったと思うから、歳をとるのもまんざらではない。


プロダクトというものは作ってみないとわからないことが多く、今回もモノを完成品として触って見ることでわかって来た問題点がいくつかある。


1つは一番根源的で、そもそも音がこれでいいのか?ということ。
約1,200キロヘルツの波形がホールでよく聞かれるブザーの音と近似してはいるが、実際あまりきれいには聞こえない。(昔ながらのホールのブザー音がそれほどきれいなのか良く憶えてはいないのだが)


2つ目は音量を増幅する処理。どうしても今の大音量サイレン装置では音が濁るような気がする。


最後はユーザインタフェースの問題。
現状、メインスイッチを入れて待機状態にした後、ボタンを押して発音になる。
しかしこの押しボタンがつきっぱなしのまま、それと知らずにメインスイッチを押すといきなり大音量がなりよろしくない。
理想としてはメインスイッチをいれた後は必ず音が出ない状態であり、ボタンを押すと音がなり始め、手動で停止か、もしくは自動的に止まるというところが理想である。


さて、解決策を考えてみる。
限られた知識と技術でも、夢想する楽しさだけは誰にでも可能性として残されているのだ。


今回、波形の生成に関して市販のブザーが全く使えないとわかった時点で、まずはトランジスタとコイルを使ったアナログのブロッキング回路をスケッチしてみた。波形にノイズを多く含み、味があるというのか、これはこれでよかった。しかし残念ながら手持ちの増幅器用には入力信号として適さなかった。仕方なく懐かしいシュミットトリガーインバータを使ったディジタルな矩形波発振機を使っている。IC一個でめっちゃ楽ちん。


音色の向上としては、倍音のテスト、色々な和音あたりをまずはやってみて、そのあと鐘や太鼓など自然の音をサンプリングして解析し計算で近似させて行くこともテストしてみたい。
CGだとこうしたディジタルシミュレーションはやっぱり限界がまだあって、サンプリングした素材の持つ複雑性にはかなわない。音はどうなんだろう。いけるような気がするなぁ。やっぱり難しいのかもね。


増幅に関しては、音声信号の増幅方法がまったくわからず、市販の防犯ブザーキットを改造して使用している。
ここは、アンプ回路をテストして、筐体容積が小さくても豊かな発音ができる機構を試してみる。
多分この世界は色々な技術やノウハウが調べればたくさんあるのだろう。私は携帯性を重視するので小型化できるか?が大きなポイントになると思う。


時間がきたら音が自動的に止まる仕組みは、おそらくコンデンサーやタイマーICを使ってできそう。こういうのは昔作った気がするなぁ。


動作の条件や波形計算など複雑になった場合、Arduinoみたいなものに、プログラムした方が早いんだけど、ハードウェアで全部組むのか、そこら辺の見極めかなぁ。サインカーブを足したり引いたりするのって、AfterEffectsのエクスプレッションとかでしょっちゅう書いているんだけど、多分波形加工だしおんなじ様な事をするんだろう。よく考えたらシンセサイザーを作ろうとしているんだろうなぁ。あんまりのめりこみたくないんだけど。


電源に関しても再考したい。今回はICの安定動作を考え、単三電池3本、4.5ボルトを使用しているが、実際は単三電池を3本購入するのって結構面倒なんだよね。4本入り買って1本あまるし。だから3ボルトで運用できるICを選択する。9ボルトも価格や一般性を考えると使用候補からはずしたい。最近はこういうとこら辺を考えるのが一番楽しい。


やっぱり、デザイナーという職種の性か、発注者がいないとなかなか仕事をしないんだけど、おかげさまでなんとなくヤル気が出てきたので、もうちょっとこの方向で手を動かして見たい。