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分岐点上のモデル


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作らなかった事で、強く思い出に残るモデルがある。中でも1979年発売の#920 Rocket launch baseはひときわ思い出深い。今考えると77年公開のSTAR WARSの成功が背景にあったのかもしれない。国内の発売はおそらく1981年くらい。宇宙シリーズは当時の私をひときわ魅了した。初期シリーズがやはり一番良くて、その中でも屈指のできであるこのモデルを私は買えなかった。

 

間違えたのだ。

箱のサイズや価格が同じだった#926 Comand centerが包み紙の中から出てきた時の驚きと失望は計り知れない。今はもうない枚方近鉄まで、中学生だった私は必死に貯めたこずかいを握りしめ、電車に乗って買いに行ったのだった。

そんなに必死なのに、肝心なところで抜けている。そういうところは、今でもあまり変わらない。

Comand center自体も地味なところはあるがよくできたモデルで、他のモデルと組み合わせれば良いモデルだったと今なら思える。

 

しかし、当時のショックは大きかった。

いつか#920 Rocket launch baseを作ろうと何度も思った。それから30年近く経って、やっと手持ちの部品で作ってみる事ができた。単身赴任を始めた時、2番目に作りたいモデルだった。全く同じパーツはない。それは構わない。多少色が違ったり、形状がないものは代用でも良い。昔からそういう方針だ。後でデジラで買い足しても良い。

 

これだけ思い入れがあったビルドにもかかわらず、思ったほど楽しくない。驚きだった。おそらく、同じパーツをデジラで買い足しても、高揚感はないのだろう。ebayなら16ドルで中古が、箱入りの新品ならその10倍の値段で売っている。それを組み立てても同じだろう。

 

モデルが古いから面白くないのか?それだけではないだろう。

遅すぎたのだ。あの時、子供の頃作らなければそこまで楽しめなかったのだろう。

 

情報としてはほぼ等価であっても、受け手の問題で全く異なったものに感じてしまう。ドウターチップで再生されたログナーを見た王様とか、死んだ娘を寸分違いなく作った博士とか、お話の例にいとまはないが、実感したのは初めてだ。

 

あの時購入するモデルを間違わなかった私は、#920 Rocket launch baseと共にどんな世界線に分岐して行ったのかはわからない。ただ、単身赴任に分岐したおれは、こうして過去の堆積物を無造作に捨てるのではなく、供養のような清算して行く機会を得たようだ。

 

http://lego.brickinstructions.com/lego_instructions/set/483/alpha-1_rocketbase