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THE TOKYO PHOENIX

クマちゃんの連載や何やかやで掲載がずいぶん後になってしまったのだが、数軒ぶりに“アタリ”の店を引いたので報告。*1新しくなった東京大丸の12階にあるレストラン街の中華担当店舗。白を中心に、調和の取れた内装がきりっと引き立つ美しい店だ。場末の中華料理屋もいいんだけど、疲れたときはこういう店の方がくつろげるようになった。
反対に向こうにとってぼくが歓迎される客かどうかはわからない。少なくともこの店のウエイターは、でかいキャメラバックと旅行鞄を抱え、稼ぎ時の夕刻に酸辣湯麺しか食べないぼくのような客に対しても、慇懃かつ丁重だった。素晴らしい。申し訳ない気分でいっぱいだ。


仕事*2が思ったより早く終わり、最終の新幹線の予約を繰り上げようと緑の窓口に行ったが指定は全て満席。経験上、自由席は不愉快なことが多い。何より席をがつがつ奪い合うあの感覚がたまらない。こういう時のために、今後はグリーン車の利用を検討したいところだけど、今日は食事をして1時間ちょっとを潰す事にした。


以前、東京駅の大丸が閉まっていて悲しい思いをしていた。ぼくと同じくらいの年だったのだ。*3
新しい大丸はピカピカしている。1階のお菓子屋は半分くらい神戸のそごう西神中央店と同じなんだけど、何店か見たことのない店もあって目に楽しい。


12階にエレベータで上がりレストラン街を廻る。全体に人が3〜4名待つ人が多い程込んでいたが、THE TOKYO PHOENIXのみ混んでいない。少し高級な雰囲気が、気楽に晩御飯を、程度の気持ちのお客を寄せ付けないのだ。
メニューカードを見ると麺類の欄に「ふかひれ入り酸辣湯麺(\2,200-)」がある。所詮ラーメンいっぱいと思うとずいぶん高いが、帰りの新幹線で\1,300-の弁当にアルコールやつまみを足しても、すぐ二千円近くになってしまうことを考えたら、別にどうでも良くなってきた。


前述のとおり、ウェイターの訓練は行き届いている。ぼくのような一見客(+小汚い+低い客単価)に対しても反感*4を表に出さない。仕事に対する誇りが行き届いている。早速、酸辣湯麺を注文。お飲み物はなしにすると、プアール茶がポットに入って持ってこられ、一杯目を丁寧にサーブされる。


しばらくプアール茶をすすりながら、他の客の談笑や、行きかうウェイターを観察する。一見、きちんとした身なりのビジネスマンが、ヤフー掲示板や、2chの話を声高にしているのを奇異に感じるのはぼくがすでに現在のビジネスシーンから遅れているのだろうか。女の子たちは楽しそうにチンジャオロースをつつきながら良く冷えた白ワインを飲んでいる。こういう方がしっくり来る。ウェイターはまだ店の構造に慣れきっていない様子だ。大皿を持って奥の戸を開け閉めする様子を見てそう思った。そうこうするうちに、高級なラー油の匂いがぷんと香りだった。ついに、酸辣湯麺が来たのだ。


これは当たりだ。そう直感した。
いままで見てきた酸辣湯麺とそう見た目はたいして変わらないのだが、椀全体からオーラのようなものを感じる。言い換えると、なにかハッタリが効いている。


汁のとろみは弱め。酸味が強い。好みだ。どうもこのふかひれがたっぷり入ったこの汁は、椀の上層部のみで、下のほうはより辛いさらっとしたスープになっている。つまり、汁が2層になっているのだ。何か凝っているな。食べていて飽きないや。


椀の中央の緑モノは、葉の形から台湾料理でよく見るインサイ*5かなと思った。一葉食べてみる。さわやかな香気が口中に広がる。やはり、インサイだ。この調理人はかなりセンスが良いと思った。単調になりがちな一杯を食べる行程に、辛みを一瞬忘れるアクセントとなる。
茸はえのきを使用。ふかひれと似た形状にすることで、口中の微妙な食感の違いが楽しい。


全体にメリハリの利いた味。どっちつかず、中途半端にならないというのはデザインにおいて、とても重要なことなのだ。この料理人なら、ほかの料理にも!と、期待が持てる。おそらく、まだ、新しい店。東京の人でも行ってない人が多いのでは。ぜひ一度訪れることをお勧めします。ランチコースなら\4,500-位だったので、ここら辺からがいいのかな。


一階のフェスティバロで、唐芋レアケーキを家族へのお土産に買って帰った。

大丸東京店
関連エントリー

*1:書いてないけど、がっかりした店、いまいちだった店がいくつかはあるのだ。

*2:アミューズメントEXPO2008開催日初日

*3:写真で確認したら、もう一回り以上御歳をきこしめしておられましたな。

*4:麺の椀と下皿がずれて置かれたのは気にしていないよ。

*5:以前台湾料理店の人に聞いたので発音しかわからない。そういえば、チャンサイとも言うそうな。ぼくはこれが大好きなのだ。