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日本間の視線

引越しを機に、結婚時に購入したアンティークのテーブルセットを処分した。


替わりのテーブルや椅子を選ぶのにはずいぶん苦労した。
できれば今までと同じように、座面が木の椅子が良かったのだ。
微妙にカーブのある木の座面は、疲れず、沈み込まず、おまけに10年経っても布のように汚れたり摩耗もせず、たいへん気にいっていた。


しかし、売り場ではあまり座面が木の椅子ってみない。


広島にあるmauniというメーカーが、プロダクトデザイナー深澤直人と組んで作った木の椅子がミラノサローネに出品していて、木の風合いやシンプルさがなかなか良かった。
しかし、座り心地は高山ウッドワークスの方が我家では評価が高かった。
しかし、高いんだよね。どっちにしても1脚3〜5万って。


すでに、リフォームやカーテンに相当使っていたので、なんか10万単位のお金の感覚が普通というか、麻痺してくるのをここはぐっと抑え、別の国産品にしました。
デザインはそれほど洗練されているとは言えないのですが、座り心地はニュートラルで良かったので。まぁ、生活のシュリンクがこれからのテーマですしね。


結局照明も深澤直人デザインの半円形LEDライトにはせず、パナで唯一陶器をランプシェードに使用している奴になったし、どうも有名デザインってものには縁がないのかもしれません。


いままで使っていた椅子や机ともお別れです。椅子は2脚ずつ、机は別で、日本のあちこちへ散らばって行きました。


この前の週末から、広くなったダイニングにはちゃぶ台を置いて、座って食事をしています。


配膳に立ち上がった家内を見て、ああこのフレームは小津だなと思いました。


我々の子供のころは、まだ日本間で、こうした視線での生活が残っていた。そういうことを体感として思い出したのでした。