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目が覚めて

昔、一緒に働いていた後輩と、出張のおりに会う。後輩はいつまでもおれのなかでは新人なのか、なにか偉そうなことをまた言ってしまう。なんだかひとの仕事に文句ばっか言っているようで、憂鬱。あの緑豊かなカフェテリアだって、おれらが始めた些細な事がきっかけだったろ、とか。読めないデザインはデザインじゃない、とか。自分で言っていて、うんざり。ほっといてやれよ。好きにやらせたらイイじゃない。もう、大人なんだし。相手もいい歳だぜ。落とし前は自分でつけるだろう。
一緒に楽器を見たり晩飯を食う約束だったらしく新幹線の時間を気にしている。いいよいいよ、細かいことはいい。報告書の時間なんて、適当に書いときゃいいのさ。重要なのはそこじゃない。ルール守ることにかまけてもな。
終電を逃すのはやばいけど、それだってどうにかなるじゃない。


そこらへんで、目が覚めた。
また寝るには目が冴え過ぎたし、夢の内容がどうにも憂鬱。
起きて顔を洗い髭を剃る。


大切なのは、自分が新人の頃、先輩デザイナーが伝えてくれたことを、おれも伝えることができているか。やることはたったそれだけなんだが、おれも歳とともに変わるし相手もどんどん変わる。長く一緒にいる相手もいれば、一瞬しか接点のない相手もいる。長くても人の話をまともに聞くのは新人の一瞬だけ。そう、一期一会だ。そんな一瞬を上手に振舞えているのか。いまいちうまくできていないと自省すると、二度寝の誘惑も憂鬱に変わる。