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なぜ、スタートダッシュできないのか?

浅野先生のblog記事「良いデザインをするには(再考)は、極めてわかりやすい。引用されている記事もたいへん興味深いものだった。確かに目標へのアプローチは、スタートダッシュ型であることが望ましい。中一の息子には夏休みの宿題を、大物から早く手をつけるように偉そうに言っている。じゃないとモンハンのクエストをダウンロードしてやんないよ。*1そういうわけで、わたしも再考してみたい。


しかし、この理屈が極めて明快であるにもかかわらず、実際にはできない人が多いのはなぜだろうか?浅野先生が以前の記事を書かれたのは2年近く前だが、それから劇的に生産性があがりました!という人はどれくらいいるのか?*2


これに対する解答として、もうひとつblogの記事を引用しておく。

− どうしてペースを守ることが大事なんでしょう。
村上:どうしてだろう、よくわからない。とにかく自分をペースに乗せてしまうこと。自分を習慣の動物にしてしまうこと。一日十枚書くと決めたら、何があろうと十枚書く。それはもう『羊をめぐる冒険』のときからあまり変わらないですね。決めたらやる。弱音ははかない、愚痴は言わない、言い訳はしない。なんか体育会系だな(笑)。
今僕がそう言うと「偉いですね」と感心してくれる人がけっこういますけど、昔はそんなこと言ったら真剣にばかにされましたよね。そんなの芸術家じゃないって。芸術家というのは気が向いたら書いて、気が向かなきゃ書かない。そんなタイムレコーダーを押すような書き方ではろくなものはできない。原稿なんて締め切りがきてから書くものだとか、しょっちゅう言われてました。
でも僕はそうは思わなかった。世界中のみんながなんと言おうと、僕が感じていることのほうがきっと正しいと思っていた。だからどう思われようと、自分のペースを一切崩さなかった。早寝早起きして、毎日十キロ走って、一日十枚書き続けた。ばかみたいに。結局それが正しかったんだと、いまでもそう思いますよ、ほんとうに。まわりの言うことなんて聞くもんじゃないです。
       ───────村上春樹ロングインタビュー(考える人 2010年 08月号)

結局、普段からスタートダッシュをする訓練のない人間には、決してスタートダッシュをコントロールすることはできないというシンプルな話だと思う。毎日の習慣。その重要性についてはイギリス人が昔からうるさかった。

習慣とは人間の天性を変えるもの
       ───────ウィリアム・シェイクスピア(ハムレット)


はじめは人が習慣を作り、それから習慣が人を作る
       ───────ジョン・ドライデン

シェイクスピアは「じゃじゃ馬馴らし」でも何か習慣についていっていた気がするが思い出せない。「習慣とは恐ろしいものだ。どんなに強い人間でもそのしもべとならざるをえない」みたいな内容だった気がする。検索できないときは原著を読めばいいんだよね。

●参考サイト

考える人 2010年 08月号 [雑誌]

考える人 2010年 08月号 [雑誌]

*1:自分ができなかったにもかかわらず、だ。

*2:もちろん、たとえわずかであっても、それでも言い続けるのが教育のオーバーアチーブな面であり、そこが素晴らしいのはあえて言うまでもないだろう。