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千葉工業大学

このブログの目的は、ぼくたちインタフェースデザイナーが、情報爆発の現代〜未来において、いかにお客さんが、うまく楽しく情報を選ぶことができるか、よき情報の水先案内人(グローバル・ナビゲィター)たりえるにはどうしたらいいのかを思索することにあります。


そのためには、従来の単純な成功体験の積み上げに頼る現場の経験至上主義のボリュームは少し下げて行きたい。一方で、最新の情報デザインの研究への参照は最も重要。常に陸が見えるガレー船での近海航海と違い、大洋を渡るには正確な航海技術が必要でした。科学の発見が技術のイノベーションを生む。

○過去の参考エントリー「現場の職人と研究者の関係」

もちろん、おもちゃで遊んだり、お酒を飲んだり、色々食べたりすることも、たぶん重要と正当化。インタフェースデザインは、どこまでもも使い手である人間の身体性と分かちがたいものなのだから。


そういう、興味と活動の一環で、情報デザイン関連の大学の卒業展示会などを2日にわたって見てまわることにしました。
会社は長年いると、ルールさえ守っていれば、かなりの勝手を許してくれる。有難いし、便利なことです。

千葉工業大学

一日目の22日(金)は、千葉工業大学デザイン科学科卒業研究・制作展「DesignerZoo8」へ行きました。
場所はJR津田沼にあります。私は幼少のころ北習志野に住んでいたので、非常に懐かしい。受験の時に再訪して以来なので20年以上前になります。あの時は街が縮んでいて驚愕しました。今回はそこまで驚きはなし。
今では朝夕なら地下鉄が直接都内まで乗り入れているが、昼間なので西船橋で乗り換える必要があります。

千葉工業大学デザイン科学科卒業研究・制作展「DesignerZoo8」

さらに今回は同好の先達であるアサノ先生にご同行いただくことになり、光栄かつたいへん心強い。インタフェースデザインの学会などに行くと結構心細い思いをするのです。(えっ、どこが?と思われるかもしれませんが…。)


ところで、昨年からいくつかの学会や分科会に参加させていただき、インタフェースデザインには大きく3つのアプローチがあることに気がつきました。

  • 美術・芸術からのアプローチ
  • 心理学・大脳生理学からのアプローチ
  • 工学・電気制御系からのアプローチ

それぞれに得意不得意があり、相補的な関係にあることは言うまでもないのですが、こと企業のデザイナー採用ということにおいては、美大芸大からの採用に主眼が置かれていました。一方で、アーケードマシン開発という、機種ごとに新規I/Oを開発する部門に長く在籍する身としては、工学・電気制御系大学の“実装”に強いデザイナーには個人的にたいへん注目しています。


“実装”とは、必要な部品を集めてきて、きちんと動くものまで組み立てる作業のことです。特に情報を扱うインタフェース機器では、動かないモックアップ(模型)をいくら眺めてもわからないことが多く、一気に実働する試作品を実装して問題点をテストすることが求められます。
アーケードマシンは必ずこういった試作を何回かするのですが、デザイナーの理想とメカ・ハードの理想は相克することが多いので、あらかじめメカハードのテクニカルタームを理解し、実装まで見えているデザイナーは強いと思います。


ここら辺は、さらに脱線してしまうのですが、ぼくがグラフィックデザインの事務所に始めて入ったころ、先輩に「デザイナーはあんまり印刷の現場のことは知らないほうがいいよ。なぜなら印刷の物理的な制約が、デザインの創造性を制限するから。」といわれたことがあります。その後、色々な職場や印刷の現場、少々の修羅場を経たぼくの結論は「知らないより、知っていたほうが現場にはギリギリの無理が言えるし、制限があったほうが創造力は倍増する。」ということです。従って、実装を知っている方が、より早く的確なインタフェースデザインができるとぼくは考えます。


そんなわけで、千葉工大の発表は、実に楽しみにしていたのですが、狙い違わず面白い研究が多く、パネルの発表を眺めたり、試作品で遊ばせてもらいました。もう少し、学生さんに直接の説明を聞けたらよかったなぁ。せっかく良い環境にあるんだから、それをうまく活かすために、多少ガツガツしていても若者は許されると思うんだよね。
その場所でアサノ先生とも無事合流でき、ご一緒に見学させていただくことで、さらに勉強になりました。


ここでそれぞれの研究内容を紹介すると、個人の興味が会社の方針と誤解されてる可能性もあり、諸々マズイかもしれないのでオミット。かわりに地域でお手伝いしている「竹の台総合新聞」に関係して、「高齢者に読みやすい新聞に関しての研究」をご紹介。

○過去の参考エントリー「竹の台総合新聞」

  1. 文字の大きさを従来の大きさの1.1倍。
  2. 文章を一つのかたまりとする。
  3. 写真、図の面積を既存のものよりも大きくとる。新聞紙面に占める写真、図の大きさを従来の11%から20%に変更する。


文字を大きくはぼくもそうしているぞ。いろんな研究があるんだなぁ。約20年前に町開きした西神中央も今では急速に高齢化が進んでいるのです。


ところで、出掛けに、大学の卒展に行くとカミさんに告げると、「必ず学生部の就職科に顔を出して、キチンとご挨拶をし、名刺を置いてきなさい。」と言われた。そうすれば会社の人も喜ぶハズだというのです。何だかよくわからないのですがその日の午前中、本社の人事担当マネージャーにその旨相談すると非常に喜ばれました。なんとも女とは偉いものです。
そういうわけで、卒展の帰りがけに、就職担当部署に寄りたいと言うと、アサノ先生も同行してくださいました。「ぼくもついでに講師の募集をしよう。」
嬉しいことです。気が合います。そんな訳で二人で大学のキャリアセンターを訪問しました。ちょっと不思議な取り合わせに先方も少し仰天気味でしたが、趣旨はご理解していただけ、最後にはたいへん喜んでおられました。


「一人採用するのには50万以上かかるんだよね」
「企業も一人当たり100万近くコストをかけるといいます」


これで、来年千葉工大から双方に数名の採用があれば、うちのカミさんは、たった一言で300万円以上稼いだことになります。スゴイね。パートだと一年分超えるじゃん。とりあえず帰りにお土産を忘れないようにしないといけません。

勤務時間終了 夜の新宿へ

その後、アサノ先生と都内へ戻ります。
総武線の中で、「アウェイは落ち着かなくて」とごそごそされるのを見て、先日の内田樹先生のエントリーを思い出しました。

内田樹の研究室「霊的都市論」

身体性の一番外側は、緩やかな膜のようになっていて地域と融合しているんだなぁと思います。毎週東京へ出張している自分を省みて、ちょっとヤバイなぁーと危機感。地域と繋がるってそういう意味でも重要なのかも。

○過去の参考エントリー「再構築する身体性」

アサノ先生も東京駅で降りる際に、内田樹先生のブログの話をされるところを見ると、おそらく同じエントリーを参照されていたようで、こういう情報共有もあるんだなぁととても新鮮。



アサノ先生のご案内で、新大久保の小尾羊餐飲で食事をし、情報デザインや中国に行ったときの話など、かなり共通する趣味の話に、とても楽しい時間を過ごさせていただきました。






後は大人のディズニーランド紀行


職安通りのキラキラネオンのドンキホーテはすごく懐かしい印象。本当に中国に行ったときを思い出します。



夜王(ホストの有名なマンガ)の世界。こちらがオリジナルなんだけど、先にマンガを読んでいると、現実がマンガを模倣しているように感じる不思議。ドンペリもあります。(笑)



ゴールデン街 初めて行きました。風林会館は不夜城の世界ですね。随園別館に着くも満腹で酸辣湯麺は断念。有名なヘパリーゼも購入。


そんな感じで新宿まで歩き、本日はそこでお別かれました。もう少し飲みたかったのですが、初対面ということで自重。色々あって昨晩は一睡もしていないのもあったかもしれません。今だに徹夜を時々してしまいます。ダメだね。
アサノ先生にはせっかくヘパリーゼまで買ったのに申し訳ない気持ちです。
半日お付き合いいただきましてありがとうございました。


その後、会社に電話を入れて、ホテルに帰り、シャワーを浴びて泥のように眠りました。「どんなに疲れていても、ホテルではシャワーは浴びてから寝なければいけない」というのも、何回かの失敗を経て身につけたプリンシプルです。