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「進化しすぎた脳」を読んで

★究極映像研究所★で紹介された進化しすぎた脳―中高生と語る「大脳生理学」の最前線 (ブルーバックス)を読む。
いままで、脳のシナプスに電気が流れているって、思っていたんだけど、イオンと化学反応の連鎖だったんだね。言われてみればそうだね。
そんな大規模に発電している感じはしない。しかも思ったより、湿っぽい感じがするんだなー、脳の中って。ちなみに、よく脳汁がでるって言うけど、あれはそんなに間違っていない感じ。
ただ、その出た脳汁を回収するのに脳の活動エネルギーの80%を使っているというのが自分としては変に納得した。えっと、ほら、LEGOのビルドをする前や、モデルをばらした後に、パーツを細かく分類したり片付けるのってものすごい労力なんですよ。やったことのある人はわかると思うけど、プラスティックの小物入れやジップロックに種類や色毎に分けていく果てしない作業なのよね。で、毎年定期的にやって、新パーツの検証やどこに何があるかの記憶を再度脳に焼き付けておく。作るのはその後。しまいには大箱あけるのがだんだん億劫になる。
そういう“お片ずけ”を重視している脳のマネージメントに感心した。やはり大切なのは“仕込み”なのだ。

と余談が過ぎたけど、脳の記憶の働きを行列で模式化したり、とにかくわかりやすかった。本当に高校の科学で脳の働きを説明しているのに感動した。すごいや。今まで、ばらばらに知っていた事柄が、まとまった形で本当に良くわかる。


特に「脳や視神経など、人間の構造に制約されて、人間は世界を知覚する。従って、人間が感じるから世界は存在する」(あぁ説明ヘタ)って言う考えは、改めて聞くとやっぱり「色即是空」じゃないのって思う。
それで、例えば宇宙人や、もしくは器官が変質するほど別の異なる環境に進化した人間の認識する世界って、いったいどんなアフォーダンスなのかなーとボーっと考える。そういう世界は人間には器官がないから認知できないんだろうけど、ルールがわかればコンピュータで変換できそうだね。
むしろ同じルールで同じ世界を認識している人類の方がお互い相容れないのかもしれないと、先日読んだ国家の崩壊で、佐藤さんが共和党より民主党政権の方がイデオロギーが異なるので米ソうまくいったというのを思い出す。これってアナロジーだよねって今読んでいるアナロジーの力―認知科学の新しい探求 (新曜社認知科学選書)に書いてあるんだけど、この本なかなか進まない。面白いけど。そんな感じで脳の機能を使いながら脳の機能と働きについて考えた。

ああ、この調子なら、脳にワイヤードする時代も生きているうちには来そうだな。脳容量的には、手足数本どころじゃないくらいI/Oポートがあるってことらしいし、増量いらないじゃん。このままで。で、ラジコンとかゲームとか脳から直接制御してー。それならチャンネル少ないし。ああ、でも脳のことだから、昇竜拳コマンドとか1発で起動するシナプスをすぐに作り出しそう。あーやってみたい。ものすごく。人体実験あったら参加希望。

もひとつ、ぼくの念願の「脳内で思い描いたことを、ムービーファイルにして吐き出す機械」を実現するには、外部に超大型の映像DBを設置し、そこと自分の脳を倒置的に接続して、脳内の映像を意味するシナプスと、対応するDB内の映像のアドレスをマッピングして、最後にまとめてマッピング情報から映像をレンダリングすればいいのかな。でもそれって、今現実、実際にムービー作っているプロセスとスピード以外本質的には変わらないぞ。あれ?やっぱり、イメージ(どんなに通俗的で薄っぺらい見掛け倒しのモノでも)を現実に定着させには多大な努力が必要で、ラクは決してできないと最近ひしひしと感じるんだけど、この真理を10歳の息子に言ってもちっとも理解してもらえない。もったいないヤツめ。ウサギと亀をもう一度読め。

ああ、また脱線だ。で、この本、図書館でリクエストした本なのだけれど、次のオーダーが入っていたんで熟読せずに返してしまった。惜しい。また借りるか買うかしよう。

ところで、つまらないことだけど、最後の方で「現代の医療技術がなければ排除されしまっていた遺伝子を人間は保存している。この意味で人間はもはや進化を止めたと行っていい。その代わり人類が何をやっているかというと、自分自身の「体」ではなくて「環境」を進化させているんだ。従来は、環境が変化したら、環境に合わせて動物自体が変わってきた。でも、いまの人間は遺伝子の進化を止めて、逆に環境を支配して、それを自分に合わせて変えている。メガネや車椅子をつくるなどというのはわかりやすい例だよね。」って記述で反応してしまった。

メガネ。

え、電脳メガネのこと? 数年前から予言!?

んなわけないが、電脳コイルはだいぶ面白くなってきた気がするので、思う人はやっぱそう思うんじゃないでしょうか。いずれにせよ全て拡張された身体だしな。訓練しだいで人間はアンプラグドでも、まだまだ拡張できるハズ。そういう設計。

それと、人間の2歳児はサルより脳の使い方が上手いようです。