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地方で家電を買うコツ

とてもイヤな体験をしても、そこから学ぶことはある。
地方で自家用車を持たずに生活していて、家電を買い換える際の注意をまとめてみた。

  1. 壊れる前に次の商品を買う
  2. 「負け組」家電量販店で買わない
  3. 「フラッグシップ商品」を購入する

近い環境の方に、参考になれば幸いです。

壊れる前に次の商品を買う

リユースが奨励される時代とはいえ、消費電力に関しては新商品を買ったほうが有利だ。10年前の家電なら買い替えが普通だろう。

冷蔵庫・洗濯機など、毎日使用するもので、耐用年数を使い切った状態でおかしくなってきたら、買い替えを検討しよう。特に、冷蔵庫(4月・10月)、洗濯機(8月?)など国内メーカーでは新商品が発売されるタイミングは決まっているので、その直前に底値になる。場合によっては半額近くなるので、気に入った商品があればそのタイミングで買うとリーズナブルだ。

いずれにせよ、壊れる前に購入を検討しよう。壊れてあせった状態では、正しい判断は難しい。

【わが家の場合】

昨年2006年の夏、10年使用した全自動洗濯機ナショナル「愛妻号」がついに壊れた。夏の洗濯物が多い時期で、家内は仕方なくお風呂にたらいを置いて洗濯をする状態に。あわてて近所のダイエーにテナントとして入っていたマツヤデンキへ。毎日、全手動での洗濯に悲鳴を上げ、購入を急いだため色々と失敗!(さらに悲鳴)

「負け組」家電量販店で買わない

家電量販業界の戦争は益々激しくなる様相である。そこからこぼれ落ちたマツヤデンキでは価格・商品の理解力・メーカーへの交渉力すべてにおいて劣っていると実感した。がんばっているのだろうけど、残念、無理だ。

【わが家の場合】

前述のように納期優先で店頭在庫のナショナルの商品を購入。ところが使用して見てあまりの騒音にビックリ!。従来使用していたものに比べて極端に作動音が大きい。マンションだしこれはまずいので販売店に交換を即相談。返ってきた答えは「騒音に関しては、商品の種類がたくさんあるので、一台一台の商品知識を販売員が持つことは難しい。地方の販売員も本部に集めて商品の研修はしているんだが…」えっ!最近は各社コストダウンのため商品数をかなり絞り込んでるやん。そんな風に開き直るの? 唖然とした。それじゃあ、正直、販売員いらんやん。

価格COMで購入したものを不良として、購入店に何度も他社商品などに交換を要求する人がいて「エグイなー」と思っていたけど、まさかそれを自分がすることになるとは…。

西神中央は、一度家電販売が撤退して、ずいぶん不便な思いをしていたので、ささやかだが地元のお店を応援したいという気持ちもあったんだが、裏目に出たようだ。
本日マツヤデンキに行く用事*1があったんだけど、けっきょく、家電は最大手販売店で買うほうが満足度が高いと再認識した。

即時性の高いプリンタ関連サプライ品などはナガサワ文具を使えばいい。ナガサワ文具も一回西神から撤退して、えらい難儀していたんだけど、今年から戻ってきてくれた。「ハレパネ」や「リキテックス単色チューブ」など、ちょっとややこしいものを頼むと本店から取り寄せになっちゃうけど、とてもがんばって*2いるんだ。

だけど、考えてみれば、近所の電気屋さんという存在も、大きくその存在意義が変貌しているよね。これは近所の文房具屋さん、カメラ屋さん、本屋さん、おもちゃ屋さん、CDショップ、ゲーム屋さんももみんな同じ。AMAZONに代替可能な店舗群だ。へたすりゃプレンティー3階は全滅だな。IT化による第三の波はすべてを洗うか。

「フラッグシップ商品」を購入する

愛妻号は良かった。本当に良かった。成型品は肉厚で、表面処理も美しかった。操作も簡単で、騒音も気にならなかった。
今回実際に購入した商品をつぶさに観察する限り、カテゴリー内の最新最高機種ですら10年以上前の愛妻号には及ばない。ナショナルはあきらかに、現在ドラム式に注力しており、全自動洗濯機にはもうそれほど開発資産を投入していないようだ。
10年以上前だが、愛妻号は当時の重点商品だった。宣伝もバンバン打っていた。当然、品質もメーカーの威信がかかった充分なもの*3だったんだと思う。今回のことで、現在の日本ではメーカーが最も力を入れている商品*4を買わないと満足な体験を得られないということが良くわかった。じっさい、それですらハズレを引く可能性はある。
本来、力を入れるつもりのないカテゴリーなら、やめてもらった方が良いと思う。ナショナルほどの大型ブランドにもなると、どうしてもフルラインナップにせざるを得ない歴史的事情*5は理解できる。しかし昨今の家電業界の再編成をみても、アップルのiPhoneの成功に見られるような「満足度の高い体験」を届けられる商品を一個一個大切に企画開発することこそ、日本のメーカーに今一番求められていることではないだろうか。
信頼に値するブランドなら、何を買ってもフラッグシップ的満足が得られる。そういう状態になる日は来るのだろうか?ネットでユーザーの評判を逐一読んで、戦々恐々としながらでないと購入できない状態*6ってどうかと思う。こーいうの、最初は面白かったけど、もう疲れました。

塩野さんのローマ人の物語で、衰退期のローマ帝国では出土品から推察する「技術の劣化」という視点は興味深い。トゥインビーを持ち出すまでもなく我々の文明も一方方向に進歩し続けるわけではない。ましてや一企業など、ちょっとした舵取りを誤ればすぐに衰退してしまう。

【わが家の場合】

前述のように納期優先で店頭在庫のナショナル商品*7を購入。自分たちで決めて買ったんだし、できるだけ我慢はするつもりだった。この商品だって一所懸命設計したり、製造した人がいるわけだし。ただ、愛妻号に比べてのあまりの騒音だ。近所にも極力迷惑はかけたくない。高度成長期くらいならこのレベルの商品でも通用したかと思う。交換希望を販売店に伝える。しかし、もちろん、即時交換というわけには行かない。
ここからが「関係者全員が不愉快だけど処理しなくてはならない道」だ。

購入者は販売店に行き、納品された商品の不具合を伝える。

販売店からメーカに連絡。

メーカーから購入者へ状況や出張の日程をヒアリングする連絡。

メーカから技術者の方が出張。購入品の不良確認。音に関しては仕様どおりとのこと。*8

販売店に行き、この商品では困ることを粘り強く説明。

代替品の検討。(静音声が高いという新製品をチョイス。当然、新製品のため値引きはあまりない)

販売店からメーカーに交換の交渉。

購入者が差額の負担にて交換との結論。

交換設置。*9

となった。設置後も、いったん引き落とした代金を口座へ戻したり、水面下でもややこしい手続きが続く。販売店にも無理を言ったという引け目から、液晶TVを買ってみたりする。


やれやれ。


これで終わったのか。

と、思ったら、購入後一年以上、ご丁寧にもメーカー保障が切れるたすぐ後のこの時分に、
異音発生。

あぁ。また色々交渉しないとダメなの…。静かに暮らしたいだけなのに。

自分の会社にも品管やお客様相談室やもあって、その仕事の大変さはそれなりに熟知しているつもりだ。だから、声高に品質や対応のまずさをここで指摘するつもりはないけど、今回はあんまりだよ。
ストレス解消と、今後の家電購入の際の指針、一方でものづくりを生業とするわが身への戒め、加えてひょっとすると同じように困っているかもしれない人の参考に、長文を記しておこう。これもユーザーに満足な経験を生み出す「デザイン戦略」の話ではあるわけだし。

●家電について気になったエントリー

*1:上述のとおり、一年後の今になって、異音が発生。メーカー出張検査&修理の相談に販売店へ行った。以前の会員カードを渡すと住所の検索ができないという。しかも、9月から新しいカードに切り替わったので再発行していただきたいとのこと。やむなく申込書に住所その他を再度記入したが、いったん預かった顧客情報を、カードシステムのデータベース切り替えごときで消失させるとはいったいどういうことか?お約束というか、昨年購入の機種品番もロスト!過去の購入機種情報も検索もできない模様。POSシステムによる顧客情報管理が常識化したこのご時世にこの対応は何?と一瞬ふら〜っと失神しそうになった。カードを一瞥して納得。マツヤデンキ Caden サトームセン seiden 負け組!しかも、家に帰って調べたら今年6月からヤマダデンキの子会社化ですか。今回の購入は一番悪いタイミングだったのかもしれないけど、もうわが家はここを利用しないことを決定。まぁわが家の購買力などたかが知れているけどね。

*2:「後で取り寄せたものと交換しておきますから」と、セットの箱から白色チューブをすっと抜いて売ってくれた!急いでいたんでホント助かった。気が利くよね!!

*3:お風呂からのお湯取りホースや、洗濯モード、省エネなど、単機能だけ取れば現行商品の方が優れている。しかし今や商品の満足度が重要になっている。商品の満足度において、全自動機は退化したと実感した。

*4:いわゆるフラッグシップ商品。カテゴリーによっては異なる場合もある。まぁ一番宣伝していて、これハズスとやばい!って商品です。

*5:わが家が全自動を選択した理由は、ドラム式の戸を開けるクリアランスが確保しにくいといった事情に加え、数年前に買い足した乾燥機をまだ使いたかったことが大きい。こうした過去の乾燥機固定用のフレームが、アダプター付きではあれ、新商品でも対応しているナショナルの商品ラインナップに対する姿勢は評価に値する。一方でそうした既存の顧客に対する「きめ細やかな対応」が、大幅なラインナップの見直しを阻害しているのだろうなぁとも想像する。過去を取るか未来を取るか。二者択一の選択に商品戦略がぶれる構造がいずこも同じだと思うと、ある種の同情を禁じえない。

*6:戦々恐々としているのは、発売後にそれを読んでいるメーカーも同じだろう。(苦笑)

*7:守口出身の家内は言ってみれば松下信者。クーラーからお風呂ポンプまで松下一色だったわが家は、基本的に壊れたら松下の同等商品を買ってきた。しかし一昨年くらいから、購入後の満足度が下がってきており、他社商品が増えている状況。思えば2年前くらいに購入した炊飯器がフラッグシップにもかかわらず以前の機種よりおいしくないと思ったあたりが閾値だった。ちなみに先月買ったナショナルの食洗器はかなり好調。食洗器も商品ラインナップがかなり絞り込まれていて選択肢がほとんどなかった。ホント今って選択と集中が徹底しているよな。

*8:ただし、この際、該当商品の商品パンフレットに、運転時の騒音に関しての記述で誤解を招きやすい表示があることを指摘。技術者の方は工場に電話して確認。事実を認めた。

*9:余談だが、設置の作業の方が乾燥機のアジャスター装着ができない。電話したりやたら難儀しているんで、見るに見かねてぼくが作業した。こういうのしっかり教育しておいて欲しい