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ご破算のススメ

スタッフが何日もムダな苦労を続けているのを見ることがある。
そういうときは今のやり方を諦め、一度最初に戻り全てやり直すと良い。
結果、数時間で解決する場合もある。

再び、下記の本の紹介である。

After Effects CS4 スタジオテクニック (DVD付)―プロが教える効果的なビジュアルエフェクトとコンポジット―

After Effects CS4 スタジオテクニック (DVD付)―プロが教える効果的なビジュアルエフェクトとコンポジット―

この本には今回本当にお世話になった。シンバルへのグリーンバックの写り込みを除去してのキーイングなど、この本なくしては実現できなかった表現は多々ある。従来の手前勝手な用法は思い出すと恥ずかしい限りだ。やはり先人に学ぶことは多い。
ガベージマット、エッジ、セントラルマットの3パスを基本として、諸所の問題をひとつずつクリアしていく。
言葉にしてしまえば1行だが、それが確実な効力を持つと断言し、各ステップの詳細を的確に教えてくれることに心から感謝したい。


冒頭の引用は、うろ覚えだが、著者が繰り返しキーイングについて述べていることだ。問題の絞り込み方が間違っていると、いつまでも作業が終わらないというのは、ことキーイングに限ったことではない。


今回は実写からのループアニメーションの作成についても、相当なノウハウの蓄積とスキルアップが図れた。近々論文にまとめたいくらいである。実写からのループアニメーションというのも、途中で「迷いの森」に入ったと思ったら、潔くそこまでのデータをご破算にする勇気が必要になってくる。


そもそも、最終的に美しい映像は、エディットデータも美しいものなのだ。複雑なマスクやレイヤーでごちゃごちゃになったデータを見るたびにそう思う。
良いショットを撮り、良いカットを探し出し、良いタイミングで繋ぐ。基本だ。だけど、結局、全てそこに至る。エフェクトはあくまで添え物だ。ある意味ごまかしでしかない。だから、シンプルでないデータになって来たら、何か間違ったのかも、最初に戻った方が良いのかも、と思う心は大切なのだと思う。


一方で、もう少しそのやり方でがんばっていたら、答にたどり着いたのに、という事例もあったりする。
まぁ、そういうものです。