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奇妙な部品

新しいセットには新しいパーツが必要というのがぼくの原則論だ。
LEGO社が毎年考え出す新しい特殊部品に関して、「形状が特殊すぎて他の用途がない」という点から批判的なユーザーの声をよく聞くが、ぼくはそれにまったく与しない。


ぼくの記憶では、過去、だいたい1990年代半ばくらいまで、LEGO社の中型以上のセットでは、パッケージの上蓋が開閉可能で、開けるとプラスティックのシート越しに、そのセットを特徴付ける特殊部品が、中央に整然と、誇らしげに並んでいるのが見れたものだった。部品の形状にあわせて成型された専用の透明プラスティックのトレーは、コストダウンとエコロジーの問題からすでにない。電車に乗って何十分かかけていった百貨店で、最新の大箱の開閉式パッケージの蓋をそっと開け、整然と並んだ新しいパーツをうっとりと眺め、その使い方に思いをはせる幸福はもうめぐってこない。


ただ言えることは、今や細密なビルドには不可欠な 1 x 1 のヘッドライト(初出は、#1980上級基本セット かなり長期間カタログに掲載されていたが、あいにくこれは買えなかった。)や半ポチずらしプレート(1978年のスペースシリーズあたりが初出だったと思う)も、ぼくが大好きな回転プレート(これもスペースシリーズから。スペースシリーズはギミック面でも大きなイノベーションであった。)も、そうやってトレーの中央部に並べられて、デビューしてきた部品のひとつなのだ。
だからぼくは、有形ブロック思想としてLEGOが、あまたあるブロック商品の中で、突出した世界を構築し続けているための、大きなダイナミズムのひとつとして、毎年、新型の部品を市場に投入することを大きく支持する。
これを否定することは、近視的、回顧的、基礎ブロック原理主義者的な考えであり、それは結局LEGOの市場への継続的な供給を阻害することにつながるとぼくは考える。確かに、なんじゃこりゃ?という部品もあるけど、進化にはゆらぎが必要なのだ。許容しよう。


しかもそんな部品を使って、ぎょっとするほどすごいビルドをする人がいるのがおもしろいんだよね。LEGOコミュニティーは。


こうした背景を踏まえ、ぼくがLEGOの新商品を判断する基準<その①>は、「新しい部品を使用していること、そして同時に、セットの組み立て自体が、その新しい部品のチュートリアルになっていること」です。ただ、これあらゆる商品デザインに共通する話なんだよな。