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バイオメガ社は存在した

何とbiomega*1という会社が地球上に存在していた。この調子なら、東亜重工*2もあったかもしれないね。それこそ、かつての満州とかに。あ、でも重工という会社名は高度成長期以降のイメージ。満州時代なら○○洋行とかそんな感じかな。


で、biomega社はデンマークの会社。自転車を作っている。なんでそんなことがわかったかというと、現在、代官山ヒルサイドテラス内でやっている「デンマークのエコ・スタイル in 代官山」展に行ってきたから。代官山のようなハイソなとこに行くなんて、今まで考えても見なかったけど、どんな街でも歩いてみるのは、これ全てデザインの勉強というわけ。で、分不相応をわきまえずうろちょろと。ま、「猫でも王様を見れる」といいますしね。


新幹線を品川でおり、恵比寿から徒歩で西へ歩き出す。

足を進めるにつれ、若者向けの町並みが、少しずつ大人っぽく変容する。


30分はかかるかと思ったけど、15分くらいで到着。

まさにモダンデザインのお手本のような建築。たまたま新幹線の中で読んでいた「美の構成学」を思い出す。バウハウス・デッサウの求める姿ですね。ガラスとコンクリ素材を使用した直線や円など幾何学的な構成。この本を読んでいたのは、まったくの偶然。
そういえば今度「バウハウス・デッサウ展」に行きたかったんだよなぁ、と色々思い出す。
テラスハウスって今じゃちょっとチープな集合住宅っていうイメージもあるけど、元々はこういう優れたデザイン性の高い居住空間を志向していたのかもしれません。


各部屋の連なりは一様でなく、一見むだにみえるスペースを配したり、不規則性を演出したり幾何学的だけど無機質な印象にならないように趣向が凝らされている。ただ、初めてきた人にはちょっとわかりにくいんだけどね。と、ふらふら歩いていたらポスター発見。うわっ、手で貼っているよ。やっぱり、手作り志向というか、アート&クラフト運動ですか。まったく。見れば一枚一枚異なっている。たいへんだけど楽しいよね。

模型も発見。絶対あると思った。
開場は11時からとのこと。しばらくつれを待ちがてら、「美の構成学」の残りを読み進む。


さて、いよいよ開場。場内は撮影可と言うことで、色々撮ってきました。

いきなり、LEGOの風車がご挨拶。まさかEDUCATIONのロゴを今日見るとは思わなかった。まぁちょっと、考えていればわかったことなんだけど。
レゴジャパンのサイトはいつの間にかEDUCATION一色になってしまった。喜んで良いのか、悲しむべきなのか、自分でもわからない。




新しいマテリアルへの深い理解。わざわざ既存の天然素材の文法にのっとった器をデザインするのではなく、素材に応じたプロダクトデザインをゼロベースで生み出す。リサイクル素材だからといって安っぽくみえない理由はそこにある。先述の「美の構成学」75ページから引用すると、バウハウスで東洋思想&天然素材志向のイッテンの後を継いだアルバースやモホリ・ナギは、スティールやプラスティックなど新しい素材を積極的に取り入れたそうだ。その後継者たちは、今も新しい素材に対して同じようなアプローチを丁寧に行っているのだと思う。
一方、自分を振り返ってみると、昨今身の回りで現物のマテリアルやテクスチャーを研究している姿を見ることはまったくない。マテリアルやテクスチャーという言葉は、MAYAやXSIなど3DCGツールの中だけの技術用語になってしまった。













なぜに、デンマークかというと、通りの向かいにはデンマーク大使館。なるほどね。
ちなみに、写真をクリックするとHatenaFotolifeで大きな画像を閲覧できる。キャンペーン期間中なんで、たくさんアップしてみたけど、ダイアリーの方に全部貼り付けると、やっぱり、やたら重くなるのでだいぶ減らしてみた。各種説明文もあって、読めるくらいの解像度のはずだけど、全部は撮れてない*3ので、さらに興味のある人は下記リンクからファクトシートのダウンロードをしてみてください。


ファクトシートを一読すればわかるんですが、彼らはエコロジービジネスを国家の基幹産業として明確にとらえ、しつこいくらい丁寧にプレゼンテーションしてくる。二酸化炭素排出量ビジネスを考案したり、各種輸入品へ環境面からの安全規制をしいたり、彼らは自分らの立ち位置をよく理解していて、域内では新しい規制や技術に自分らを充分律しながら、域外へは硬軟巧みに使い分けた的確な一手を打ってくる。そこには、合理主義を重んじる西洋人の姿が明確にみえる。


一方で、日本人はどうかというと、そこまでソフィスティケイトされていないような不満をいつも感じる。同様に自らの歴史的・文化的・民族的財産をよく理解したうえで、同様に自らを厳しく律し、的確な一手を打てるはずなんだけどなぁ。



とんぼ返りで、深夜の新神戸駅に着く。まもなく神戸で環境サミットが開催。テロ対策でゴミ箱の封鎖をするのはかまわないんだけれど、コピー用紙とガムテープで塞ぐような美意識しか公共機関の方々がもてていないんだから問題だよね。
もう少し美しくできないものかなぁ。こういう機会に他の先進国のリーダー達に日本のどういうところをアピールするのか、もっと考えなくちゃだめだよ。そのためにも「美の構成学」の大衆化・普及が必要なんだろうが、これがなかなか難しい。日本人の一般的な生活から、伝統に基づいた独自の美が乖離して久しい。それでも、まだまだ良い国なんだけれど。


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●第2バウハウスが設立されたデッサウ市とデンマークの位置関係

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*1:バイオメガ弐瓶勉氏がウルトラジャンプに連載中のマンガ。かつて、その1巻分は週刊ヤングマガジンで連載していた。つまり移籍ですね。講談社から出ていた1said巻とは版型を違えた集英社版には、1巻と2巻の間をつなぐエピソードが収録されており、ファンはやむなく同じお話を再度購入するにいたる。連載のほうは、現在地球をはるか離れやっと弐瓶節が炸裂する展開になってきたと嬉しい今日この頃。正直、クマはもうおなかいっぱいでした。ソ連テイストは好みなのだが。

*2:同じく弐瓶勉氏の手による「BLAME!」という作品世界中に存在する企業体。講談社月刊アフタヌーンに連載。先述の「バイオメガ」にも同名の会社が存在するが両者はパラレルな関係?

*3:修理したキャメラのプリセットがリセットされていて撮り損ねたのが結構ある。